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わかりたい。 わからないままがいい。 あいまいな気持ちと態度で ごまかすことが いけないことだとわかっていても。 13.みたされたいのに 後 「あらま、2人とも寝ちゃったのねー。」 いつの間にかいなくなっていたカカシがそっと近づいてきた。 「せんせー!!どこ行って、」 少し大きな声を出すナルトにの腕の中にいるユウマがピクッ、と反応した。 「しー。2人、起きちゃうでしょ。」 「ばか。」 バシッ、とサクラはナルトの頭を叩く。 「う、ごめんってばよ。」 「で、どうでした?」 カカシは子どもたちが遊んでいる間に母親と火影のもとへ行っていたのだ。 「ん、お母さんの方は順調。お父さんは明日には里に戻って来るだろうって。」 「じゃあ、今日はこいつらどうするんだ?」 サスケはソウマを指差してカカシに問う。 「今日は家に連れてくよ。」 「じゃあさ、俺らはどーすんだってばよ?」 「んー任務は一応続行中なワケだけど、・・・オマエらも来る?」 「え?いいの!」 やったーとナルトは任務であることも忘れて喜んでいる。 「馬鹿ねーナルト。これは任務なのよ!(サスケくんとの一晩ゲットォォオオ!!)」 「・・・めんどくせぇ。」 それから含むカカシ班とムサシは、ソウマをカカシが背負いユウマをが抱いて帰った。 「あ!カカシさん。」 「ん?」 横を歩くは何かいいことを思いついた、とでもいうようににんまりと笑っていた。 「花火、みんなでしましょうよ!」 「あー前言ってたやつ?いいねぇ。」 「花火!やったねー♪♪やっぱ夏はみんなで花火だってばよ。」 素早く聞きつけたナルトがまたしてもはしゃぎだす。 またしてもそれを諌めるサクラ。 面倒がりながらも、ナルトをからかうサスケ。 微笑ましく見守るカカシ。 こうしてるとなんだか家族みたい。 がそう思ってふとカカシを見ると、ちょうど目があった。 自分の心を見透かされそうで、なんとなく慌て視線を外したをカカシは複雑な気持ちで見つめていた。 「ん、ここ・・・どこ?」 「お、ユウマやっと目ェ覚めたな。」 「ナルトー??」 「は?」 まだ半分夢の中なのか、ユウマは目を擦りながらすっかりなついたの姿を探していた。 「ねーちゃんとサクラちゃんは晩メシの準備。カカシせんせーとサスケとソウマは花火買いに行ったってばよ。 んでちなみにここはカカシせんせーん家。」 「はなび!ぼくもするー。」 「あぁ、メシくったらな?俺とお前はその間遊んでるってばよ。」 「・・・・。」 「ん?ユウマ?」 「わんわんだー!!」 え、俺か? ユウマの興味は2人をそっと見守っていたムサシに向けられたらしい。 物凄い勢いでムサシの元へやってきて犬が珍しいのか、ユウマはムサシをなで回していた。 ムサシはあちこち引っ張られて正直苦手に思ったが、小さな子相手に怒る訳にもいかずひたすら耐えていた。 「ふわふわだー。」 「ぷっ、ムサシと子どもなんて似合わねぇ〜。」 ナルト・・・笑ってないで助けろよ。 そろそろ限界だ、と思った頃助けの手が差しのべられた。 「さーて、ご飯出来たから2人とも手洗っといで?」 「〜!!」 「ユウマくん、おなかすいたかな?」 「うん。すいたー。」 「よし、じゃあーナルトくんと一緒に手洗っておいで。」 「行くぞーユウマ。」 ユウマの手を引いて、ナルトは洗面所へと向かっていった。 「・・・助かった。」 「優しいんだね、ムサシくん。」 「あんな小さいの相手じゃ怒るわけにもいかんだろ。」 必死に耐えるムサシを思い出したのか、はクスクスと笑っている。 「お前までナルトと同じ事言うなよ。」 「え〜?」 ごまかしながらも、が必死に笑いを堪えているのがわかる。 ・・・もういい。 「ただーいま。」 「あ、カカシさんたち帰ってきた。おかえりなさーい。」 玄関に向かうと、カカシとサスケがドサドサと買ってきた花火を置く。 「いやー選び出したらあれもこれもってなっちゃってさ。」 「こんなにやるのかよって、俺は止めたんだぞ。なのにカカシのやつ・・・」 「いいじゃない、せっかくだし。ねーソウマくん。」 「・・・別に。なんでもいい。」 「まーた、そんなこと言ってー。いちばんはしゃいでたくせにv」 「なっ!!うるせー///」 なんだかんだいってまだ5歳のソウマくんは、口ではあぁ言っているもののやはり子どもなのだろう。 はそんなソウマの一面を見て自然と顔が綻んだ。 「さ、サクラちゃんが準備してくれてるし2人もお腹空かせて待ってますよ。手洗ってきてください。」 「はーい。」 本日二度目の食事もまた賑やかなものとなり、みんなで大いに笑って始終楽しく時を過ごした。 「さーて、食事のあとは花火だぞー。」 カカシさんの号令で、皆でそれぞれに荷物を持ち、外に出て花火をした。 打ち上げ花火、ネズミ花火、手持ち花火、いろんな色の花火をたくさん。 「はい、サスケくん。」 は少し離れたところにいるサスケを見つけ、手持ち花火をさしだした。 「やらないの?」 いつまでも受け取らないサスケには首をかしげる。 「・・・別に。」 「みんな楽しそうだねー。」 そう言ってはサスケの隣に座った。 にべったりだったユウマも、今は花火に夢中らしく危なっかしい様子にソウマとカカシが面倒を見ていた。 そこにナルトとサクラが加わりわいわいと騒ぎながら、手持ち花火を楽しんでいる。 「は、楽しいか?」 「今?うん、楽しいよー。サスケくんは?皆で騒ぐのは苦手?」 「前までは・・・必要ないと、思っていた。」 「え?」 「俺に必要なのは、力だけ。あとはアイツを憎む気持ちがあれば十分だと、そう思っていた。」 「・・・・。」 初めて触れた、サスケくんの闇。 深い、 深い 闇。 「でもどうしてかな、アイツらと一緒にいるとこういうのも悪くないとも・・・思う。」 「そっか。」 「聞かないのか?」 「なにが?サスケくんが誰を憎んでるとか、力が必要ってことは誰かに復讐したいのとかそういうの?」 「あぁ、まあ。」 バッ、と立ち上がりはサスケの前に立った。 「聞かない!誰にでも色々あるでしょ?それに・・・きっと私にはサスケくんの気持ちをわかってあげられないもん。」 「・・・?」 「でもね、」 は無理矢理サスケの手に、花火を握らせた。 「楽しいことなら教えてあげられるし、一緒に楽しむことなら私にだって出来るよ?」 はにこりと笑ってサスケの花火に火をつけた。 その深い闇から救うとか、 助け出すとか、 そんな事が出来るほど私は忍の世界を知らない。 ただ私の笑顔が少しでもサスケくんに伝染したらな、そう思って。 へらへらすんなって、怒られても彼の前では笑っていようと思った。 「・・・綺麗だな。」 「うん?」 の笑顔が、そういいかけてサスケは何を言うんだと己に驚きつつもごまかした。 「花火///」 「そうだね、綺麗だねー。」 手元の花火を見つめるを、サスケはそっと盗み見た。 優しく自分に微笑みかけてくれるが。 花火なんかよりも断然綺麗だと、思うのは何故なのか。 幼心にこれが初恋ってやつなのか?と1人自問自答を繰り返していたサスケであった。 花火を終えた一行はムサシと別れ再びカカシの家に戻り、順番に1日の汚れを落とすべく風呂に入った。 「じゃあーナルトはユウマくん、サスケはソウマくんとね。」 「はーい。じゃあユウマ、先入ろうってばよ!」 「おふろー!」 てくてくとナルトの後を追ってお風呂に向かう2人。 「じゃあ、その間に私は食事の後片付けしてますね。」 「さん、私も手伝います!」 「オレはちょっと報告書書いてるね。」 「サスケ、宿題教えてくれ。」 「あぁ、じゃあ一式持ってこい。」 それぞれがそれぞれに、好きに行動していた。 こちらは共にキッチンに立つとサクラの女性組み。 「さんて、本当お料理上手ですよね〜。」 「そ、そうかなぁ///」 お世辞とわかっていても、やはり褒められると照れてしまう。 「今度是非習いたいんですけど・・・。」 「うん!いつでも来て〜♪♪あ、ホラ私こっちに来てまもないから女の子の知り合いってサクラちゃんだけなのよ。やっぱり寂しくって〜。」 「そうですよねー。」 「あ、わかる?」 「はい、私も班で女1人なんで。」 「そっか!じゃあ色々大変だねー。」 「まぁー慣れてますけどね〜。」 「さん?」 はサクラに食器を渡しながらにやにやしている。 「サクラちゃんはサスケくんと一緒に居れればいいもんねv」 「えぇぇ??!!さん、知ってたんですか?」 もちろんサクラが驚いたのは。 「わかるよー。だってサクラちゃんサスケくんの前じゃ恋する乙女ってかんじだもん〜。」 なんで私の事がわかるのに自分のことはさっぱりなのかしら。 サクラがそんな事を思っているとは知らず、は嬉しそうに「頑張ってねv」とサクラを応援していた。 カカシ先生って結構あからさまだと思うんだけどなぁ。 しっかりしているようでどこか抜けているが、自分よりもかなり年上にも関わらず可愛らしく思えて。 「なーに、サクラちゃん。」 「なんでもないです。」 サクラはクスクスと笑った。 とサクラがキッチンにてガールズトークをしている間に、サスケ・ソウマ組もすっかりお風呂からあがったようだ。 「サクラちゃん、先にお風呂入っておいでよ。」 「あ、でも。」 「カカシさんは報告書まだみたいだし、みんなで先に布団敷いておくから。ね?」 「すみません。」 申し訳なく思うサクラをは半ば無理矢理浴室に押し込んだ。 「いいのよ。パジャマ私のでいい?」 「はい!じゃあ先にお借りします。」 「いってらっしゃいv」 サクラは気軽に話せるが姉のようで嬉しかった。 リビングに戻ったは、次の行動に移るべくみなに聞こえる声で話しかける。 「じゃあーみんなで布団を敷こう♪♪」 「ふとんしくー!!」 「おふとんおふとん♪♪」 敷き終えたばかりの布団にユウマがたおれこんだ。 「あ、コラ。ユウマ!せっかく綺麗にしたのに皺になるだろ。」 「えへへvだってお兄ちゃん、たのしいよー。」 バフン、今度は隣でナルトがたおれこんだ。 「おーホントだな〜。」 「ナルトのガキ。」 そう呟いたソウマにナルトは枕を投げつけた。 「ぶ!」 枕は見事にソウマの顔面にヒットし、 落ちた。 「や、やったな!」 ソウマが負けじと投げた枕は、ナルトではなくサスケへ。 「・・・ソウマ。」 「あ、サスケ。」 「いいぞーソウマ♪」 「うるせードベ。あとソウマ、お前やったな!」 ソウマの一投で見事にサスケに火がついたらしい。 「わーサスケ!ごめんって〜。」 ソウマはサスケに枕を投げられて身を守るのに必死だ。 「ぶ!ちょっと、ナルトくーん。」 ナルトはすかさず端で見ていたの顔面へも枕を投げた。 「へへへ、ねーちゃんボーッとしてっから♪」 「も〜〜〜。わ!ユウマくんまで。」 その後、サスケとソウマも巻き込んで大騒ぎしなから枕投げ大会が繰り広げられた。 わーわーと騒がしい声が聞こえていたかと思ったら、気づけば隣の部屋からは物音ひとつ聞こえなくなっていた。 「ん?だーいぶ静かになったな。」 カカシがあらかた報告書を書き終えてリビングに戻ったのと、サクラが風呂からあがるのはほぼ同時で。 「カカシ先生、お風呂先にいただきました。」 「ん。ねぇ、サクラ?」 「はい。」 「とサクラのポジションって、フツー逆じゃない?」 見れば、布団が敷かれたリビングには先ほどまで枕投げを楽しんでいた子どもたち2人と部下2名にプラスして 大人のが転がって眠っていた。 「あはは、さん頑張ってたから疲れちゃったんですよ。きっと。」 子どもたちと対して変わらないほどあどけない顔で眠る。 これじゃーどっちが子どもなんだか。 「さんて、私より全然年上なのに可愛らしいですよね。」 「ねー。サクラの方がよっぽどおねーさんってかんじ。」 カカシは近くのソファーに座る。 「それ、さんが聞いたら怒りますよ?」 そんなカカシを見て、サクラは布団の隅っこに眠るサスケのそばに座った。 「くくく、それもそーね。」 「ねぇ、先生?」 「なーに。」 「私、サスケくんのあんな顔初めて見た。」 「ん?」 「今日、さんと話すサスケくんが・・・楽しそうに笑ったり、恥ずかしそうに照れたり。 ・・・さんといる時は私の知らないサスケくんばっかり。だから、私・・・さんが少し羨ましいです。」 「サクラ。もさーオマエのこと羨ましいって。」 「私?」 サクラはまさかカカシがそんなことを言うとは思わず、驚いて後ろにいるカカシを見た。 「そ。」 「何で・・・ですか?」 「はさ、どんなにわかりたくても自分は忍者じゃないから肝心な部分でわかってあげられないって。 だから、どんなにオレたちカカシ班の皆を大切に想っても他愛もない、ほんの些細な事でしか支えになれない自分が歯がゆいんだってさ。」 「そんな、だって。」 「ねー別に些細な事じゃないのにね?がしてることもサクラがしてることも。」 「あ、・・・」 「別に、違う人間なんだから出来ることなんて違って当たり前。は、サクラはサクラでしょーよ。」 カカシは立ち上がり、サクラのそばに寄ると膝をついてしゃがみこみ視線を合わせた。 「賢いオマエのことだからこれ以外は言わなくてもわかるね?」 「はい、そうですよね。私は私に出来ることで皆を支えます。」 「ん、そーしてちょーだいよ。」 ぽん、とカカシはサクラの頭に手をのせた。 サクラにはこんなに簡単に触れられるのに。 には、 今日は1度だってふれてない。 「なんだかんだ言って、ナルトもサスケもサクラに頼ってるとこあるからねぇ。」 「カカシ先生だって頼ってくれて構わないんですよ?」 「は?」 「さんの事。先生、さんになんかしたでしょ?やっと告白したんですか?」 「えーっと、・・・」 「えーまだ告白してなかったんですか?先生ってだらしないのは時間だけかと思った。」 「サクラ、オレ心がイタイ。」 「だって、今日1日先生ったらの様子窺ってばっかり。さんはさんで妙に先生によそよそしいっていうか。」 なーんでこの子はわかるかなァ。 女の子はこういうとこ鋭いからほーんとやんなっちゃうよね。 「先生、しっかりしないとさん鈍いからこのまま一生気づいて貰えませんよー。そのうち誰か別の人が、なんてこともあるんじゃないですか?」 う、サクラ・・・やっぱりオレ心がイタイんですが。 カカシはそんな心の動揺を、部下でもあるサクラに素直に見せるわけにもいかず。 「さーてと、オレらもそろそろ寝ますかね。」 カカシは、少し間を開けて。 そのままにしておくわけにいかない寝ているを、なるべく自然になるようにして そっと抱き上げた。 そんなカカシをサクラは見て見ぬふりをした。 「サクラはのベッド使いなさいねー。はオレのベッドで寝かすから。」 「え?じゃあ先生は。」 「オレはこいつらとここで寝るよ。ま、サクラ女の子なんだし。普段はあれだけどこんなときくらい遠慮しなーいの。」 カカシのその言葉で、サクラはの部屋で寝ることを決めた。 「じゃあ、先生おやすみなさい。」 「ん、おやすみー。」 サクラとリビングで別れた後、カカシはを自室に運んだ。 おろす時も起こさないように、細心の注意を払う。 カカシの思いなど、何も知らずに目の前のはすやすやと眠っている。 初めての任務はどうだった? って、子どもの扱いじょーずだよねぇ。 話したいことがたくさんある。 聞いてみたいことがどんどん増える。 ナルトたちやソウマたちがいたせいで、ちっとも近づけなかった今日。 子どもたちのせいにしてみても、キスをしたあの日から徐々にすれ違う心が簡単にの態度に見てとれた。 までの距離が苦しくて。 任務としてわずかでも仲間になれたことが嬉しくて。 「・・・。」 そっと、呟くようにカカシは名を呼んだ。 その呼び掛けは深く眠るには 届かない。 触れるのが、こわい。 自身に、 その心に 触れるのが。 拒絶された朝が、カカシの心に深く突き刺さる。 でも、 それでも。 『先生、しっかりしないとさん鈍いからこのまま一生気づいて貰えませんよー。』・・・か。 いい加減ちゃーんと言わなきゃね。 オレは、 オレはが、・・・・ いつまでもこうしていそうな自分を、無理矢理立つことで振り切った。 「おやすみ、。」 パタン、と。 扉が閉まる音が静かで穏やかな夜に、少しだけ響いた。 難産でしたー。 なにが難しいって、大勢の人数で長時間、展開する難しさにぶち当たっておりました(汗 自分の所為でしょ、と思いながらも。 やっぱり、ワタクシの能力では多くて3人が限界のような気がします。 サクラちゃんと先生のからみから、最後のカカシ先生のつぶやきまでがなんてまースイスイかけるのなんのって。 ワタクシどうも、カカシ先生を追い詰めるのがスキですw ごめんね、カカシせんせーvv さー皆さんに見放される前に次いってみよ〜〜。 |